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これもいつか絶対に形にしたかった0回戦!
追記から!!

それは、アルデラがまだ研究所から出られなかった頃の話。
まだ、いろいろなものに興味を持ち始めた頃の話。

アルデラを育ててくれたはかせの研究室には、物々しい機械や薬瓶などがたくさん積まれていて。
それらはすべて、アルデラにとっては初めて見るものばかりで。
研究所から出られない彼女の、それが世界のすべて。

手当たり次第に触れては、学ぶ。
それは何と言う名前なのか。
何に使うのか。
そんなことを繰り返し、ある日。

「…あ…」

はかせが薬液を熱したあとに消し忘れたらしい、バーナー。
吹き出し口からは細長く火が噴きあげていた。
もちろん、『火』をアルデラは知らない。

「…きれい」

そう思って、まだ変化が未熟な手を触れる。
瞬間、それは凶器と化した。

「…やっ…やだ、こわい…!!!!」

アルデラの獣の腕を燃やす炎を見て、はかせは驚いて白衣をバサバサと振った。
幸い、すぐにアルデラに燃え移った炎は消しとめられ、バーナーの火も消えたが、はかせは心配故にアルデラを叱った。

「アル、今のは『火』といって、むやみに触ってはいけないものなんだ、もうやるんじゃないぞ」

「…うん…ごめんなさい」

……………

それからというもの、アルデラにとって『火』は触れてはいけないもので、もし触れたら叱られるという認識になった。
もちろん、その時に見た『火』というものの恐怖は、頭にしみついて離れない。

そんな折。

「…こんにちは」

「!!!」

控え目に微笑む、紫色の髪をポニーテールにまとめた女性。
かすかに火の気配を感じて、アルデラは思わずたじろいだ。

「(ひだ……!!!!)」

あの日の光景がフラッシュバックする。
女性の表情はとても柔らかくて優しいのに、その記憶が怖くて。

「…怖がらなくて、大丈夫ですよ?」

びくびくとおびえるアルデラにも、女性は優しく笑ってくれた。
その笑顔に、かつての恐怖心は薄れて、おそるおそる手を伸ばす。

「…おねえちゃん、さわっても、おこられない…?」

「怒りませんよ」

その言葉にようやく安心して、ぎゅっと手を握ってみる。
温かい。
はかせのようなヒトと同じ、優しい温かさ。
触れてもいい火もあるのだと、その温かさに悟る。

「…おねえちゃん、ぎゅってしていい?」

「ええ、どうぞ」

にっこりと笑った女性に、今度はぎゅっと抱きついて。

「(おねえちゃんのひは、やさしいひ)」

そんなことを、ぽつりとつぶやく。




……………

うおおおお散文だけど打てた!!!
シンシアさんに火怖いけどぎゅっぎゅしに行く絡みをいただいていたのでその話!!
イズナさんとシンシアさんお借りしました!!
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電気蜘蛛は毒蛇の夢を見るか?
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