4~最終戦の幕間になります!
タリスデレるよ!
追記から!!
タリスデレるよ!
追記から!!
陸軍病院。
先の戦闘で負傷した後、ヒムカに刀を一本預け、ここに舞い戻ってきた。
…もちろん、勝手に前線に出たことに関しては、軍医にこってり絞られたが。
「……はぁ…」
とはいえ、左肩はようやく刀が振り回せる程度まで回復しそうだし、左目以外はほぼ健常体なので、いつまでもベッドに寝ていると気が滅入る。
…軍で戦うことだけが、私にできることだというのに。
許可をもらい、中庭に出る。
ベンチに腰掛け、ぼんやりと空を見ていた。
それに、人の形に陰が差す。
「なんだ…貴様か」
どうやら見舞いに来てくれたらしいその陰は、ヒムカのもので。
ぼんやりとしていたのも手伝って、けだるげに声を出す。
「タリス、怪我の具合はどう?」
そう声をかけられ、軍医に言われたことをそのまま伝える。
左肩の裂傷はほぼ治っており、あと少し安静にしていれば、また刀が振れる程度に回復していること。
左目の傷は絶望的で、少なくとも現段階でものを見るのは不可能、かつ、仮に治ったとしても極端な視力の低下は否めないこと。
無理をするなと言われても、私には、こんなことしかできない。
不器用な分、やれることはやりたいと思った。
それが、周囲に心配をかけるとしても…この職業を…軍人という立場を選んだのは、ほかでもないこの私なのだから。
なぜだろうか、不思議なほど穏やかに、いろいろな話をした。
世界がこんなことになってしまってからの話も、その前の話も、いろいろ。
これだけの安心感を感じるようになったのは、いったいいつからだろう。
こと男相手に関しては、自分の態度に隙を作らないようにと気を張っていた私だったが、こいつ相手に、そういう無駄な気を張らなくてもいいのだと思うようになったのは。
そんなことを思っていたら、声を上げたのはヒムカ。
「なぁ、タリス」
「何だ?」
「…この剣、返すわ」
戦闘が終わり次第、修理に出すからとヒムカに預けていた、私のもう一本の刀。
…だが、割れてしまっていた鍔の部分は綺麗に直っていて、刀身も研ぎ直したように艶やかに輝く。
「修理に出してくれたのか…?」
その問いに、珍しく歯切れの悪い返答を返してくるヒムカに、再び声をかけられる。
それに応えれば、左手を出すように言われた。
ほぼ完治している左手を見て何になるというのか分からないまま、左手を差し出せば。
「な…っ!?」
薬指にはめられたのは、銀色の指輪。
その意味が分からないほど、私とて馬鹿ではない。
だが、その状況を瞬時に理解できるほど、利口でもない。
やっぱりぴったりだな、と嬉しそうに笑って、すぐ私の指からそれを外すまでの一連の流れが、本当にゆっくりと感じられて。
貴様は自分がしていることの意味を理解しているのか?
そう言いたい気持ちは山々だったが、あまりに突然の出来事に、脳も体も硬直したように動かず、ただただ息をのむ。
「(仮に理解していての行動だったとして)」
「(それをする相手が私で、本当に良いのか?)」
そんな思いが去来する中、もうひと箱、水色の箱を取り出して、開けてみせるヒムカ。
中には、一回り大きめの指輪が入っていて、奴の行動は、すべて理解したうえでの行動だということを物語る。
「それ、この戦いが終わるまで持っててくれる?」
相変わらず言葉の継げない私に対し、そのまま言葉を重ねる。
「あ、嫌だったら投げ捨ててもいいけど」
……馬鹿か、貴様は。
「この戦いが終わったらさ…迎えに行くから」
…こういうとき、普通の女ならどう答えるのだろう。
素直に『待っている』と言うのだろうか。
それを今の私が言えたなら、どれだけ楽だっただろう。
愛だの恋だのと、まったく縁のない生き方をしてきた過去の自分を、これほど恨んだことはない。
用件だけを済ませてさっさと帰るヒムカを、その姿が見えなくなるまで見送って。
「……嬉しいと思わないわけが、無いだろうが」
預けられたそれは、奴の髪の色とよく似ていて。
手渡してきたときの表情を思えば、そこに嘘など見えなくて。
一度だけ、それを強く胸元に抱き込み、懐にしまう。
私の覚悟と奴の誓い、二人分の想いを抱えたこの体が、こんなところで朽ちるわけにはいかない。
「…私は生きる…だから、お前も生きて、また私のところへ」
ふと、また空を仰ぎみれば、ずいぶんと外に長居をしてしまったことに気づく。
膝にかけていたストールを肩にかけ直し、病室へと戻る。
……………
うおおおおお打てた!!!!
だってヒムカさん指輪持ってきてくれたからこれは便乗するしかないと思って!!!!!
もちろん死なないですよ!戦争を!生き残る!!
先の戦闘で負傷した後、ヒムカに刀を一本預け、ここに舞い戻ってきた。
…もちろん、勝手に前線に出たことに関しては、軍医にこってり絞られたが。
「……はぁ…」
とはいえ、左肩はようやく刀が振り回せる程度まで回復しそうだし、左目以外はほぼ健常体なので、いつまでもベッドに寝ていると気が滅入る。
…軍で戦うことだけが、私にできることだというのに。
許可をもらい、中庭に出る。
ベンチに腰掛け、ぼんやりと空を見ていた。
それに、人の形に陰が差す。
「なんだ…貴様か」
どうやら見舞いに来てくれたらしいその陰は、ヒムカのもので。
ぼんやりとしていたのも手伝って、けだるげに声を出す。
「タリス、怪我の具合はどう?」
そう声をかけられ、軍医に言われたことをそのまま伝える。
左肩の裂傷はほぼ治っており、あと少し安静にしていれば、また刀が振れる程度に回復していること。
左目の傷は絶望的で、少なくとも現段階でものを見るのは不可能、かつ、仮に治ったとしても極端な視力の低下は否めないこと。
無理をするなと言われても、私には、こんなことしかできない。
不器用な分、やれることはやりたいと思った。
それが、周囲に心配をかけるとしても…この職業を…軍人という立場を選んだのは、ほかでもないこの私なのだから。
なぜだろうか、不思議なほど穏やかに、いろいろな話をした。
世界がこんなことになってしまってからの話も、その前の話も、いろいろ。
これだけの安心感を感じるようになったのは、いったいいつからだろう。
こと男相手に関しては、自分の態度に隙を作らないようにと気を張っていた私だったが、こいつ相手に、そういう無駄な気を張らなくてもいいのだと思うようになったのは。
そんなことを思っていたら、声を上げたのはヒムカ。
「なぁ、タリス」
「何だ?」
「…この剣、返すわ」
戦闘が終わり次第、修理に出すからとヒムカに預けていた、私のもう一本の刀。
…だが、割れてしまっていた鍔の部分は綺麗に直っていて、刀身も研ぎ直したように艶やかに輝く。
「修理に出してくれたのか…?」
その問いに、珍しく歯切れの悪い返答を返してくるヒムカに、再び声をかけられる。
それに応えれば、左手を出すように言われた。
ほぼ完治している左手を見て何になるというのか分からないまま、左手を差し出せば。
「な…っ!?」
薬指にはめられたのは、銀色の指輪。
その意味が分からないほど、私とて馬鹿ではない。
だが、その状況を瞬時に理解できるほど、利口でもない。
やっぱりぴったりだな、と嬉しそうに笑って、すぐ私の指からそれを外すまでの一連の流れが、本当にゆっくりと感じられて。
貴様は自分がしていることの意味を理解しているのか?
そう言いたい気持ちは山々だったが、あまりに突然の出来事に、脳も体も硬直したように動かず、ただただ息をのむ。
「(仮に理解していての行動だったとして)」
「(それをする相手が私で、本当に良いのか?)」
そんな思いが去来する中、もうひと箱、水色の箱を取り出して、開けてみせるヒムカ。
中には、一回り大きめの指輪が入っていて、奴の行動は、すべて理解したうえでの行動だということを物語る。
「それ、この戦いが終わるまで持っててくれる?」
相変わらず言葉の継げない私に対し、そのまま言葉を重ねる。
「あ、嫌だったら投げ捨ててもいいけど」
……馬鹿か、貴様は。
「この戦いが終わったらさ…迎えに行くから」
…こういうとき、普通の女ならどう答えるのだろう。
素直に『待っている』と言うのだろうか。
それを今の私が言えたなら、どれだけ楽だっただろう。
愛だの恋だのと、まったく縁のない生き方をしてきた過去の自分を、これほど恨んだことはない。
用件だけを済ませてさっさと帰るヒムカを、その姿が見えなくなるまで見送って。
「……嬉しいと思わないわけが、無いだろうが」
預けられたそれは、奴の髪の色とよく似ていて。
手渡してきたときの表情を思えば、そこに嘘など見えなくて。
一度だけ、それを強く胸元に抱き込み、懐にしまう。
私の覚悟と奴の誓い、二人分の想いを抱えたこの体が、こんなところで朽ちるわけにはいかない。
「…私は生きる…だから、お前も生きて、また私のところへ」
ふと、また空を仰ぎみれば、ずいぶんと外に長居をしてしまったことに気づく。
膝にかけていたストールを肩にかけ直し、病室へと戻る。
……………
うおおおおお打てた!!!!
だってヒムカさん指輪持ってきてくれたからこれは便乗するしかないと思って!!!!!
もちろん死なないですよ!戦争を!生き残る!!
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