アフター書き始めて早くも5本目…。
退役をひとつのターニングポイントとするなら、これが二つ目になります。
清々しくヒムタリ、そして甘めかつ切りどころがつかめず長いです!
追記から!!
退役をひとつのターニングポイントとするなら、これが二つ目になります。
清々しくヒムタリ、そして甘めかつ切りどころがつかめず長いです!
追記から!!
「じゃ、明日…ね」
「…ああ」
退役後、ばたばたと準備に追われて気づけば…結婚式の前日、というところまで日は流れていた。
日が落ちるまでヒムカと話をして、自宅に戻ったのは深夜。
「にゃー」
「ふふ、ただいま」
玄関を開けたとたんに、ととと、と音をさせて歩いてきた猫を抱き抱え、部屋に入る。
椅子に腰かけて机上を見れば、幼いころの写真が目に入った。
……………
「タリスは本当に綺麗な髪をしてるな、母さんにそっくりだ」
「ほんと?とうさま、わたしのかみ、きれい?」
…幼い日、父様に自分の髪をほめてもらったことを思い出す。
それ以降、どういうわけか自分の髪を切るのが惜しくて。
ずっと、私の髪は長いまま。
…鏡に、自分の顔を映す。
「(変わらないんだな、私は)」
変わらない、それは果たして…いいことなのか。
変わらないことと変われないことは、たぶんイコールなのだろうと。
これまでの自分を振り返り、思う。
そして。
「(…努めてみようか…『変わる』ことを)」
おもむろに自分の髪の中段あたりをつかんだ、私は。
……………
―――ホウエン某所。
…広めの控室に通された私は、着慣れない真っ白なドレスに落ち着かなさを覚えながら、彼が来るのを待っていた。
そこへ。
「…タリスー、おはy……!!?」
「あぁ、おはよう、ヒムカ」
振り返って笑った私を見たヒムカが驚いている。
こんなに驚いた顔は見たことがなかったかもしれない。
「……こ、こんなに短く切るのは初めてなんだが…その、おかしいか…?」
その表情に、昨日の決断は失敗だったかと思わされる。
変わろうと思った私の選択。
肩口より少し上で切りそろえたその髪は、物ごころついてから切ったことのない長さ。
「いや、おかしくないよ…ちょっと椅子座ってくれる?」
言われるまま椅子に腰掛け、背を向ける。
しゅっ、しゅっ
丁寧に髪を梳く音。
「…驚いたか?」
「少しね…けど、よく似合う…あと」
「?」
「ドレスもすごく似合ってる…今のタリス、すごく綺麗」
「……馬鹿もの」
髪を梳かれながらの会話。
そんな中、段取りの確認も一緒にする。
「…そういやさ、ブーケ、投げるの?」
「…?あぁ、確かその流れだったはずだが」
「『幸せのおすそ分け』だっけ」
「……そう、だな」
そう答えた時の私の表情は、穏やかだったのだろうと思う。
が、その答えを聞いたヒムカは、何か考え込んだ風で、小さく「ふーん」とだけ返してきた。
……………
式そのものはつつがなく進み、ひと通りの行程が終了した。
そして。
「…じゃ、じゃあ…これを投げればいいんだよな…?」
…正直、こういうことはあまり得意じゃない。
ヒムカの、「タリスのタイミングでいいよ」という声に押されて…手に持ったブーケを投げる。
…と、同時に。
「!!!?」
私の手からブーケが離れた瞬間、隣で地を蹴る音が聞こえて。
「よっと」
壇上から見下ろせば、さっき投げたはずのブーケをその手におさめ、振り返って満面の笑みを見せるヒムカの姿。
「ばっ…馬鹿、お前なにしt…!!!」
突発的に出した抗議の声を、一段飛ばしで壇上へ駆け上がってきた彼の唇でふさがれる。
「…だって、タリスのこと幸せにするのは俺だし?」
「だ、だからって…」
「…だから、はい」
そう言って、自分が取ってきたブーケを、私の手に握らせる。
その笑顔は、あのとき見せたのと同じ、幸せそうな笑顔で。
「俺が受け取った幸せ、タリスにあげる」
その、一連の流れを見て…『奴ら』が何も言わないわけはなかった。
「ひゅう、やるじゃんヒムカぁ!このバカップルー!!」
「ジギ、二次会存分に惚気ていいからなー!」
「どーも、先輩方声援ありがとー!!」
にやにやとはやし立てるザキとスガに、やりきった、と言わんばかりの笑顔で客席の二人にひらひらと手を振るヒムカ。
…正直私は照れやら何やらがないまぜになって、なんだかもうよく分からない。
「…ヒムカ…ちょっと、このブーケ預かっててくれるか…?」
「えっ、あっ、了解」
ヒムカにブーケをいったん預けると、ドレスの左裾を脚の付け根あたりまで一気にたくしあげる。
腿に提げていたのは、軍人時代をともにすごした刀二振り。
「えっ…」
「ばっ…馬鹿…馬鹿か貴様らああああああああああああ!!!!!!!」
恥ずかしさからそのまま刀を抜いて壇上を飛び降りる。
「きゃージギーさんこわーい」
「にげろー」
「棒読みでしゃべるな貴様らああああああああ!!!!」
とりあえず斬りかかる寸前でヒムカに抑えられ、何とか事なきを得て式は終了した。
「もう…タリス落ち着いて?」
「…だっ…誰のせい、だと…馬鹿っ……!」
まだ赤みのさしたこの顔はお前のせいだ…どうしてくれる。
…そんなことを言ってやりたくても言えない程度に…頭が真っ白になるほど幸せで。
自分を抑えつける腕をぎゅっとつかんだ。
……………
うーん長い!!!!!
んなわけで、タリス断髪→結婚式SSでした!!
ブーケのくだりは…だってイロさんがやるって言うから…(人のせいやめ)。
タリスは設定文にもありましたが隠れたファザコンなので、無意識のうちに父親から褒められた髪を切るのが惜しいって感覚をずっと持ってました。
…が、今回、それより大事な人ができて、初めて長い髪にはさみを入れる…ってのがやりたくて!
構想段階では、ドレスの着付けしてもらう最中に式場の人に切ってもらうってのもあったんですが、結婚式当日にはさみだめだろ…ってなって今の形式になりました←
ヒムカさんとザキスガさんお借りしました!!
「…ああ」
退役後、ばたばたと準備に追われて気づけば…結婚式の前日、というところまで日は流れていた。
日が落ちるまでヒムカと話をして、自宅に戻ったのは深夜。
「にゃー」
「ふふ、ただいま」
玄関を開けたとたんに、ととと、と音をさせて歩いてきた猫を抱き抱え、部屋に入る。
椅子に腰かけて机上を見れば、幼いころの写真が目に入った。
……………
「タリスは本当に綺麗な髪をしてるな、母さんにそっくりだ」
「ほんと?とうさま、わたしのかみ、きれい?」
…幼い日、父様に自分の髪をほめてもらったことを思い出す。
それ以降、どういうわけか自分の髪を切るのが惜しくて。
ずっと、私の髪は長いまま。
…鏡に、自分の顔を映す。
「(変わらないんだな、私は)」
変わらない、それは果たして…いいことなのか。
変わらないことと変われないことは、たぶんイコールなのだろうと。
これまでの自分を振り返り、思う。
そして。
「(…努めてみようか…『変わる』ことを)」
おもむろに自分の髪の中段あたりをつかんだ、私は。
……………
―――ホウエン某所。
…広めの控室に通された私は、着慣れない真っ白なドレスに落ち着かなさを覚えながら、彼が来るのを待っていた。
そこへ。
「…タリスー、おはy……!!?」
「あぁ、おはよう、ヒムカ」
振り返って笑った私を見たヒムカが驚いている。
こんなに驚いた顔は見たことがなかったかもしれない。
「……こ、こんなに短く切るのは初めてなんだが…その、おかしいか…?」
その表情に、昨日の決断は失敗だったかと思わされる。
変わろうと思った私の選択。
肩口より少し上で切りそろえたその髪は、物ごころついてから切ったことのない長さ。
「いや、おかしくないよ…ちょっと椅子座ってくれる?」
言われるまま椅子に腰掛け、背を向ける。
しゅっ、しゅっ
丁寧に髪を梳く音。
「…驚いたか?」
「少しね…けど、よく似合う…あと」
「?」
「ドレスもすごく似合ってる…今のタリス、すごく綺麗」
「……馬鹿もの」
髪を梳かれながらの会話。
そんな中、段取りの確認も一緒にする。
「…そういやさ、ブーケ、投げるの?」
「…?あぁ、確かその流れだったはずだが」
「『幸せのおすそ分け』だっけ」
「……そう、だな」
そう答えた時の私の表情は、穏やかだったのだろうと思う。
が、その答えを聞いたヒムカは、何か考え込んだ風で、小さく「ふーん」とだけ返してきた。
……………
式そのものはつつがなく進み、ひと通りの行程が終了した。
そして。
「…じゃ、じゃあ…これを投げればいいんだよな…?」
…正直、こういうことはあまり得意じゃない。
ヒムカの、「タリスのタイミングでいいよ」という声に押されて…手に持ったブーケを投げる。
…と、同時に。
「!!!?」
私の手からブーケが離れた瞬間、隣で地を蹴る音が聞こえて。
「よっと」
壇上から見下ろせば、さっき投げたはずのブーケをその手におさめ、振り返って満面の笑みを見せるヒムカの姿。
「ばっ…馬鹿、お前なにしt…!!!」
突発的に出した抗議の声を、一段飛ばしで壇上へ駆け上がってきた彼の唇でふさがれる。
「…だって、タリスのこと幸せにするのは俺だし?」
「だ、だからって…」
「…だから、はい」
そう言って、自分が取ってきたブーケを、私の手に握らせる。
その笑顔は、あのとき見せたのと同じ、幸せそうな笑顔で。
「俺が受け取った幸せ、タリスにあげる」
その、一連の流れを見て…『奴ら』が何も言わないわけはなかった。
「ひゅう、やるじゃんヒムカぁ!このバカップルー!!」
「ジギ、二次会存分に惚気ていいからなー!」
「どーも、先輩方声援ありがとー!!」
にやにやとはやし立てるザキとスガに、やりきった、と言わんばかりの笑顔で客席の二人にひらひらと手を振るヒムカ。
…正直私は照れやら何やらがないまぜになって、なんだかもうよく分からない。
「…ヒムカ…ちょっと、このブーケ預かっててくれるか…?」
「えっ、あっ、了解」
ヒムカにブーケをいったん預けると、ドレスの左裾を脚の付け根あたりまで一気にたくしあげる。
腿に提げていたのは、軍人時代をともにすごした刀二振り。
「えっ…」
「ばっ…馬鹿…馬鹿か貴様らああああああああああああ!!!!!!!」
恥ずかしさからそのまま刀を抜いて壇上を飛び降りる。
「きゃージギーさんこわーい」
「にげろー」
「棒読みでしゃべるな貴様らああああああああ!!!!」
とりあえず斬りかかる寸前でヒムカに抑えられ、何とか事なきを得て式は終了した。
「もう…タリス落ち着いて?」
「…だっ…誰のせい、だと…馬鹿っ……!」
まだ赤みのさしたこの顔はお前のせいだ…どうしてくれる。
…そんなことを言ってやりたくても言えない程度に…頭が真っ白になるほど幸せで。
自分を抑えつける腕をぎゅっとつかんだ。
……………
うーん長い!!!!!
んなわけで、タリス断髪→結婚式SSでした!!
ブーケのくだりは…だってイロさんがやるって言うから…(人のせいやめ)。
タリスは設定文にもありましたが隠れたファザコンなので、無意識のうちに父親から褒められた髪を切るのが惜しいって感覚をずっと持ってました。
…が、今回、それより大事な人ができて、初めて長い髪にはさみを入れる…ってのがやりたくて!
構想段階では、ドレスの着付けしてもらう最中に式場の人に切ってもらうってのもあったんですが、結婚式当日にはさみだめだろ…ってなって今の形式になりました←
ヒムカさんとザキスガさんお借りしました!!
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